【あるある】なんちゃってフリーデスクの実情
フリーアドレスの実施で、業務体制や働き方が最適化されるとは限りません。確かにフリーアドレスの実施にはモチベーションアップや生産性向上につながりますが、効果は絶対ではないのです。
すべての社員がフリーアドレスを望んでいるとは限りませんし、フリーアドレスに順応できずかえって効率を落としてしまうパターンもあります。こちらでは、なんちゃってフリーデスクの実情について解説します。
従業員は実は「変わらないでほしい」と思っている?
既存の業務体制や環境に慣れている従業員にとって、新しい取り組みや環境がかえって障害になる場合があります。会社が勢いでフリーアドレスを導入すると「そんなことして欲しくなかった」と感じる従業員が出現してもおかしくはないでしょう。
とくに経営層や一部の部署が、従業員の意見を聞かず一方的に実施する場合は否定的な意見も多くなることが予想されます。
作業効率が落ちてしまう人も
フリーアドレスはあくまで働き方のひとつであるため、すべての要素において固定席の環境を上回るものではありません。従業員のなかには、固定席のときよりも作業効率が落ちてストレスに感じるケースもあるでしょう。
フリーアドレスに楽しさや新鮮味はあるものの、業務の本懐である「作業効率」が落ちては意味がありません。
固定メンバーで会社の風通しが悪い
フリーアドレスを機に気が合うメンバーで集まるようになると、会社の風通しが悪くなる可能性もあります。例えば、フリーアドレスにより好きなメンバーだけで集まると、以下のような事態が起きる可能性があります。
- ・派閥が生まれる
- ・雑談ばかりで業務が進まない
- ・情報の伝達漏れが起きる
- ・他部署やほかのメンバーと交流が進まない
とくに、オフィス内で付き合いが深い同僚がいない従業員の場合は、情報が入って来なかったり、孤立したりするかもしれません。
固定席で業務が固定してしまうリスクもありますが、フリーアドレスを実施することで、企業活動に重要な「組織内のチームワーク」がかえって阻害されてしまうこともありえるのです。
従業員に余計な疲れが発生
フリーアドレスは自由に席が決められる一方、余計なストレスや疲れを抱える原因にもなりえます。例えば、直属の上司や苦手な同僚の隣しか席が空いていない場合、余計な気を遣ってしまうことになります。
また、日当たりや周囲の雑音も席によって異なるため「気が散る」として集中できないケースもあるでしょう。フリーアドレスは言い換えれば「いつも通りの環境」と呼ばれるものがないため、余計な疲れを招いてしまう可能性があります。
そもそもうちの会社、なんでフリーアドレスにしたんだっけ?
フリーアドレスに限らず、会社で新しい取組を行うには必ず「目標」や「動機」が必要です。なんとなくで始めた施策には、高いリスクが潜むものです。こちらでは、フリーアドレスを見直すのに必要な「動機」の振り返りについて解説します。
時代の流れ?
IT化や働き方改革においてもいえることですが、新しいシステムや制度を「時代の流れだから」「メディアで見たから」といった理由で始めるのは、危険なサインです。IT化・働き方改革・フリーアドレスといった取組は、あくまで手段の1つです。
そのため「導入するかどうか」より「どのように取り組むべきか」のほうが、はるかに重要といえます。フリーアドレスにした明確な動機や理由がすぐに言えないのであれば、今一度初心に立ち返ることも必要です。
従業員の意見?
利用者である従業員がどのように感じているか、どのように改善すべきかは定期的にヒアリングしなければなりません。
ひとくちにフリーアドレスといっても、最適な実施方法は動機や目的によって異なります。実施の初期段階から効果が現れるとは限りませんし、例えば固定した方がいい座席を明確にする工夫なども有効かもしれません。
実施後は当初の動機や目的に見合った効果が現れているのか、アンケート調査や面談といった手段で従業員にヒアリングを行いましょう。
経営層の独断?
経営層が独断でフリーアドレスを決めた場合は「なぜフリーアドレスにしたのか」を、従業員に今一度周知する必要があります。トップダウンによる積極的な行動は経営者に求められる姿勢ですが、現場との大きな乖離はストレスの要因になります。
ただ「やって」というだけでは、あまりに一方的で、うまくいくものもいかなくなってしまいます。担当者の役割として経営層が期待する意図、導入の狙いが伝わるようにアレンジしていくことが重要です。繰り返し発信・調整していくことも大切な役目です。
フリーアドレスって実はもう古い?
フリーアドレスという考えが生まれたのは、1980年代からといわれます。そのため「時代に合ってない」「古い考え」という進んだ意見もあります。こちらでは、フリーアドレスの本来あるべき姿について解説します。
時代でなく自社にあっているかどうか
フリーアドレスは、進みつつある働き方改革や多様性を受け入れる社会においては、適した取組といえます。しかし、それが自社に合っているかどうかはまた別の話です。たとえ時代の流れだったとしても、重視すべきは「時代」だけではなく「自社」です。
フリーアドレスを検討するなら自社の組織風土や業態に適しているかを考え、また実施するにしても、具体的な方法が従業員の働き方をよい方向に進めてくれるのか考えなければなりません。
失敗に気づいたなら改善できる
フリーアドレスを実施している場合は、今のオフィス環境が果たして従業員にとって最善なのかを確かめる必要があります。もしも現状でフリーアドレスに失敗していると気づいたのであれば、改めて最適なオフィスのあり方を考えなければなりません。
このとき、即座にフリーアドレスを取りやめるのではなく、冷静になぜ失敗しているのかを掘り下げるのが重要です。現状のオフィスにおける問題点を、オフィス環境の観察や従業員へのヒアリングといった方法で洗い出しましょう。
「ガチガチのフリーアドレス」というものはありません。工夫や改善の余地はいろいろあります。今がうまくいっていないとすれば、これから従業員・会社にとってベストの選択を見つけ出しましょう。
改善は「従業員の声」を聞く
フリーアドレスの現状を改善するには、実際に現場で働く従業員の声が大切です。そもそもフリーアドレスはより仕事をしやすくするための取組であり、取り組むひとりひとりを主軸として内容を考えなければなりません。
そのためには従業員の意見を求めなければなりませんが、実直にアンケートや面談を実施しても、実情を把握するのは難しいでしょう。なぜかというと、経営者や上層部から意見を求められると、従業員は気を遣うからです。
例えば、経営者主導でフリーアドレスに関するアンケート調査を記名式で実施したとします。アンケートは記名式なため、経営者は誰がどんな意見を書いているのか把握可能です。従業員は、自身の評価を気にして当たり障りのない回答をするでしょう。
このように、従業員のリアルな声を把握するのは、相応の工夫が必要です。アンケート調査であれば無記名式かつオンライン形式のものを、面談する場合でもアイスブレイクを取り入れて本心をいえる環境を整えるといった工夫が必要になります。
みんなの「疲れる」をなくそう
失敗しそうなフリーアドレスで挙げられるのは、従業員の「疲れ」です。コミュニティから孤立する疲れもあれば、毎回荷物をまとめてオフィスを立たなければならない疲れもあります。
そのためヒアリングの際には、社員が何に疲れているのかにフォーカスをあててうまく聞き出すことを心掛けるとよいでしょう。
【結論】「フリー」過ぎるオフィスは疲れる
フリーアドレスは非常に自由度の高い施策で、今の時代に即した考えともいえます。しかし、自由であることは一つ一つを自分で選択する必要があり、そこにはストレスや手間も存在します。フリーアドレスを効果的に実施するには、以下の点を意識しましょう。
ある程度のルールを定める
「好きに座ってください」と伝えただけのフリーアドレスでは、従業員同士で暗黙の了解が出来上がってしまったり、誰かが居心地の悪さを感じたりしてしまいます。そのため、会社としてのある程度のルールは設けておかなくてはなりません。
例えば、一定の条件下でグループアドレス(チーム単位でデスクを選ぶこと)をルールに加えれば、特定の人物だけ孤立する心配がありません。また、席選びはランダムに座席管理システムの抽選機能を使うという手もあります。
より使いやすいオフィス環境の実現には、適切な運用ルールが必要です。
YourDeskは、座席の抽選(ランダム)機能や同一席の連続使用禁止機能などを備えた多機能な座席管理システムです。
管理システムで全員が見える化を
ルール作りの中では、従業員のニーズに配慮したシステムの導入も必要です。システムを導入すると枠を作れるため、ルール作りも楽にできます。
例えば、オンラインの席予約システムを導入すれば、当日に出勤してから場所を探す必要がありません。また、オフィスを雑談OKな交流エリアと会話禁止の集中エリアに区分すれば、用途に応じたオフィスの選択ができます。
フリーアドレスを効果的に実施するには、事前の枠組みによって最適化されたオフィス環境を提供する必要があります。
都度仕組みをみなおす
ルールやシステムを導入した後も、都度仕組みを見直しながら、自社に適したフリーアドレスのやり方を模索しましょう。事前に練り上げたプランも、実施後に想定した効果が得られるとは限りません。PDCAを回しながら評価と改善を繰り返す必要があります。
フリーアドレスはオフィスに行くたびに体感することになりますので、いろいろな気づきを生みます。様々なツールを活用しながら、「フリーアドレスを良好に進めるためにシステムをどのように使うか」の視点が大切です。
導入企業を参考に
自社における最適なフリーアドレスのあり方がわからない場合は、実際に導入した企業を参考にする方法が有効です。ただし、成功事例をそのまま真似しても、うまくいくとはかぎりません。導入するツールの提供者などをうまく活用しながら、アドバイスを求めることも役に立ちます。
様々な利用事例が紹介されていますので、まずは自社に近い例を探してみるのがよいでしょう。
まとめ
フリーアドレスがイマの新しい働き方に適した取り組みであることは間違いありません。そのため現状のフリーアドレスがうまくいっていないと感じた場合でも、いくつかやり方を改善するだけで劇的に環境が整う可能性は十分あります。フリーアドレス自体を諦めるのではなく、今一度初心に立ち返り、オフィスのあり方を再定義しましょう。
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