フリーアドレスの「結局いつもの席」から浮かぶ問題
ここではまずフリーアドレスの結局いつもの席問題にまつわる「あるある」を紹介します。フリーアドレスは従業員の様々な人間模様が隠れています。
①「主」が座席を暗黙の了解で決めている
フリーアドレスで発生するのが「謎の主」問題です。たとえば、各部署のいわゆるお局様に当たる人がフリーアドレスといいながらも座席を決めていたり、自分が話しやすい人と隣り合っていたりということが起こります。
そのため、若手の従業員は自分の座りたい席に座れなかったり、結局フリーアドレスになったにもかかわらず、苦手な上司の隣で仕事をするといった問題が発生します。この暗黙の了解は現場でしか体感できない課題です。
②「あの人たち仲良すぎ…?」と不穏な人間模様
フリーアドレスでは従業員同士のコミュニケーションを活性化できます。しかし、あまりにも隣り合う二人の親密度が高い場合、よからぬ噂を立てられることもあるでしょう。たとえば、当人同士は仕事の話を楽しくしていたつもりでもそれが異性であった場合は「あの人たちはただならぬ関係らしい」と憶測を呼ぶことも。フリーアドレスでのコミュニケーションは節度が求められるのです。
③密かなパワハラも…?
フリーアドレスで自分の席を決められるとはいえ、やはり業務の観点から上司と隣り合う機会は多いでしょう。とくに、上司から仕事を教えてもらう際は、2人で席を確保すると効率的です。しかし、上司と部下の相性が悪い場合はパワハラが起こる可能性も捨てきれません。フリーアドレスで席が自由に決められるからこそ、部下は上司から逃れられないといった課題も発生するのです。
④「仕事」でなく「サークル化」
フリーアドレスでコミュニケーションが取りやすくなると、仕事ではなくサークル化してしまう可能性もあります。仲のよい従業員同士で集まることでつい話が弾み、業務と関係のない話で盛り上がってしまうこともあるでしょう。業務が「馴れ合い」にならないようにするには、フリーアドレス担当者の力量が求められます。
「結局いつもの席」を脱するには?
フリーアドレスにおいて「結局いつもの席問題」を解決するには、従業員にフリーアドレスの意味を周知した上で、具体的な策としてシステムを使ったりルールを決めたりする方法が有効です。ここでは4つの対策方法を紹介します。
フリーアドレスの意味や目的を知ってもらう
まずはフリーアドレスの意味・目的を今一度、従業員に共有しましょう。一般的にフリーアドレスを導入する目的や意味は下記が挙げられます。
- ・業務の見直し、効率化を図る
- ・他部署間での交流を図る
- ・交流の増加によりアイディアの創出を促進する
- ・風通しの良い社内風土を作り上げる
- ・オフィスのコストパフォーマンスを高める
従業員がなぜフリーアドレスを導入したかを把握していない場合、見通しが持てないことからいつもの席にとどまっている可能性があります。今一度「なぜうちの会社はフリーアドレスを導入しているか」を従業員に知らせましょう。
抽選機能をフル活用
従業員のいつもの席問題はシステム導入で解決できます。システムには抽選機能がついていたりランダム機能がついていたりします。この機能を活用すると、いつもの席に座ることがそもそも発生しません。フリーアドレスにかかる担当者のストレスや工数を大きく削減できるでしょう。
予約システムは「固定」を避ける
座席管理システムにおいて抽選機能を使わない場合は予約の固定を避けましょう。システムを導入していても従業員が固定の席を予約していては本末転倒です。あくまでフリーアドレスのための予約、といった認識を従業員に持ってもらいましょう。
座席管理システムについてはこちらの記事もご覧ください。
参考記事:フリーアドレスで社員の居場所がわかる方法とは?座席管理システムを上手に活用しよう
「◯日連続はNG」の明確なルールを決める
予約システムの固定を避ける具体的な方法としてルール決めがあります。たとえば、「3日以上連続で席を固定するのはNG。」といった具体的な決まりを設けます。
座席の予約に際してルールが設定されていなければ、独自のルールが設定されてしまったり従業員が戸惑って座席選びでストレスを抱えたりします。フリーアドレスとはいうものの、自由すぎると従業員にとって負担になるためルール決めを必ず行いましょう。
あわせてこちらもご覧ください。
YourDeskは、座席の抽選(ランダム)機能や同一席の連続使用禁止機能などを備えた多機能な座席管理システムです。
フリーアドレスが向いていない会社の特徴
ここからはフリーアドレスでつまずきがちな会社の特徴を4つ紹介します。現在フリーアドレスの推進がうまくいっていない場合は、会社の仕組みや風土が適していない可能性が考えられます。
ペーパーレスが進んでいない
業務においてペーパーレスが進んでいない企業は、フリーアドレスとの相性が悪い傾向にあります。フリーアドレスは従業員がどの席でも私物を置いて自由に業務ができる状態が理想的です。しかし、多くの書類を席の移動のために運んだり資料を都度取りに行ったりする手間が発生すると、フリーアドレスの効果は半減します。フリーアドレスが難航している場合は業務のペーパーレス化から見直してみましょう。
情報の機密性が高い
業務において情報の機密性が高い企業や部署もフリーアドレスに適していません。フリーアドレスになると、私物を置きっぱなしにできた固定席では気にならなった情報管理も課題になります。そのため、社内の中でも秘密裏に行う仕事の場合、場所や席を選ぶことになり、対策が必要です。
もしも機密性が課題になるのであれば、該当部署以外でのフリーアドレス推進がおすすめです。フリーアドレス成功のポイントはスモールステップです。できる部署からスタートするのが良いでしょう。
昔からの習慣が根付いている
歴史ある企業の場合、昔からの習慣がフリーアドレスを阻むことがあります。たとえば、年長者の席が決まっており新人は受付に近いところに座るといったルール決めがある場合、フリーアドレスにすると反対の声が上がることもあります。
また、「経理部門は経理だけで固まる」「営業と総務は仲が悪いから離れたい」などといった企業ならではの文化はフリーアドレスとの相性が悪い傾向にあります。この問題を解決するには、経営層からの意識改革が求められるでしょう。
部署ごとの連携がない
企業において、各部署で独立して業務を進めている場合フリーアドレスは効果を実感できません。フリーアドレスでは部署間の交流を盛んにする効果が期待できますが、そもそも他の部署と交流する必要がない場合は、他部署とのコミュニケーションの活性化は難しくなるかもしれません。
しかし、現在部署間で対立しがちだったり、逆に部署間で連携を取ることでより業務の効率化が図れる場合などはこれを機にフリーアドレスを検討するのも良いでしょう。
フリーアドレスが向いている会社の特徴
ここからはフリーアドレスが向いている会社の特徴を4つ紹介します。時代の流れにあわせてペーパーレスを推進する企業はもちろん、これから時代に即した会社のあり方を構築したい場合も適しています。
ペーパーレスが進んでいる
第一に、ペーパーレスを推進している会社はフリーアドレスとの親和性が高い傾向にあります。契約書や各種資料などを電子化してあると、どこに行ってもパソコン一つで情報を参照できます。さらに、電話ではなくチャットツールを導入したりペーパーレスFAXを導入している企業はよりフリーアドレスにおける業務がスムーズになるでしょう。
他部署間での連携が必須
比較的会社の規模が小さく、他部署間での連携が必要な場合もフリーアドレスが適しています。たとえば、営業担当者が経理の領域まで一部担当する場合は、連携が密に求められます。その際にフリーアドレスで同じオフィスにいると、気になることがあった場合に声をかけやすかったり、業務をより効率的に進められたりするでしょう。
また、営業部門と事務部門で書類作成や顧客からの問い合わせなどで連携を取りたい場合もフリーアドレスは効果的です。
テレワークの選択肢がある
テレワークと出勤双方の選択肢を設けているハイブリッドワーク実施企業にとってもフリーアドレスは適しています。テレワークの社員が多い場合、既存のオフィスでは座席が多かったりスペースを持て余したりします。テレワーク導入を機にオフィスの規模を縮小し、自由なところに座れる仕組みづくりを整えると、コストカットが図れます。
これから「イマドキの会社」を目指したい
これからペーパーレスやIT化、やがてはDXを目指す場合もフリーアドレスは適しています。近年は業界業種問わずDXを推進する動きが目立ちます。DXとはIT化の先に企業としての革新的なあり方を目指す取り組みを指しますが、まずは業務のペーパーレスやIT化が求められます。これからイマドキの会社を目指したい場合も、まずはフリーアドレスからスタートしてみるのが良いでしょう。
まとめ
フリーアドレスは人にまつわる問題が山積みで、時には担当者は途方にくれることもあるでしょう。とくに、「いつもの席問題」は「変わりたくない」という本質を捉えたもののため、「変える」のは至難の業です。
しかし、システムを導入することで半ば強制的に従業員の意識改革ができるため、企業の成長を目指すのであればぜひ改善を行い、フリーアドレスの定着を目指しましょう。
変化に富んだ時代の中で、企業は新しい取り組みや変化への適用が求められています。フリーアドレスも未来の投資として取り組んでみるのはいかがでしょうか。