フリーアドレスを成功させるポイントのひとつにペーパーレス化があります。弊社では、コロナ禍でリモートワーク(テレワーク)が推進される以前から、ペーパーレス化を実現する複合機連携ソリューションを販売し、ご好評をいただいてきました。今回はフリーアドレスを定着させるために必要なペーパーレス化について、多くのお客様が抱える課題や文書の電子化の一助となるアプリケーションなどについて、SIOS Apps Service Lineの担当者が解説します。前編では「ペーパーレス化とは何か」をはじめ、ペーパーレス化のメリットや課題などを、後編では課題を解決するための方法やツールについてお話します。
- 社名
- サイオステクノロジー株式会社
- お話を伺った方
- 荒井恵さん
SIOS Apps Service Line - URL
- https://sios.jp/
ペーパーレス化のためのソリューションを開発
オフィスのペーパーレス化については、実は私たちが文書管理アプリケーション「SIOS Apps」のビジネスを始める以前から提唱されていて、初めは文書管理からスタートしています。「ペーパーレス=完全な電子化」ではありませんでしたが、当初は「すべてがデータになってしまうと、探すのが大変だ」という思いを抱く人が多く、慣れていないものを敬遠する気持ちが働いていたというのが、実態だったのではないかと思います。
そのためペーパーレス化は必要だと分かっていても、実際にはなかなか進みませんでした。それが、働き方改革が推奨され、フリーアドレスが注目されたことに加え、このパンデミックが呼び水となって、急加速しているというのが昨今の動向です。
SIOS Appsの誕生は、大塚商会様から複合機ビジネス関連のソフトとして作ってほしいという依頼をいただいたことが発端でした。2008年から開発に着手して、2009年7月に「Quickスキャン」と呼ばれる複合機を活用したスキャンソリューションの販売を開始しています。Quickスキャンは機能追加などを繰り返し行いながら、現在バージョン5(V5)が発売されています。
Quickスキャンが開発された後に、リコージャパン様向けにQuickスキャン同様の製品として「Speedoc(スピードック)」の販売を2010年10月に開始しており、こちらもバージョン4(V4)まで出ています。
これらに加えて、複合機のログを取得する「Logキャプチャ」という製品を2014年に販売し、続いてペーパーレスファクスを推進するソリューション「Easyファクス」を2017年に販売しています。現時点ではEasyファクスとLogキャプチャは大塚商会様からしか購入していただけません。
SIOS Appsが開発・販売しているアプリケーション「Speedoc」、「Quickスキャン」、「Easyファクス」、「Logキャプチャ」等は、リコー製複合機にのみ装着できるアプリケーションです。
これらのアプリケーションが具体的に、どのようにペーパーレス化を実現するかは後々お話しますが、そもそもペーパーレス化とはなんぞやということを改めて確認しておきましょう。
そもそもペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、社内で取り扱っているさまざまな文書を電子化することによって業務の効率化を図り、紙の使用を減らしていくことをさします。オフィスで紙を使用すると、どうしても保管場所が必要となります。ペーパーレス化することで保管場所のスペースが削減され、コストの削減にもつながります。
また、コロナ禍でリモートワーク(テレワーク)がどんどん取り入れられていますが、そういった新しい働き方に対応していくうえで、欠かせないのがペーパーレス化だと思っています。
表題にあるように、フリーアドレスを成功させるカギを握るのも、ペーパーレス化の実践だといえます。フリーアドレスはどこにでも座れるはずなのですが、どこにでも座れない人がたくさんいます。それは何かというと、そこの席でなければできない仕事だからです。書類がたくさんあるので移動できない、あるいは書類を保管しているキャビネットの近くの席が便利であるなどと、その席から離れられない、その席がいい理由があるわけです。
けれど、それではせっかくのフリーアドレス座席管理(ホテリング)システム「YourDesk」も機能不全に陥ってしまいます。フリーアドレスにするからには、いろいろな席に座って、その利点を大いに生かしてほしいものです。まずは、そのためのペーパーレス化だと思っていただいてかまいません。
お客様の中にはフリーアドレスになったタイミングで、かなりペーパーレス化が進んだと話す方も多く、フリーアドレスとペーパーレス化はセットで進めるもの、セットで進むものなのだと考えます。
ペーパーレス化のメリット
メリットはいくつもあると思うのですが、セミナーなどでお話させていただいているのは大きく次の3つです。
- 1.情報が共有しやすくなる
- 2.書類を探す時間を削減できる
- 3.リモートワークの環境整備につながる
1つ目の情報の共有についてですが、紙で書類を管理している場合、もし1人がバインダーを見ていれば、他の人は当然閲覧することはできません。しかし電子化して、メンバー全員が閲覧できる共有のフォルダーなどに保存しておけば、1人が閲覧していても、他の数人が閲覧していても、制約なく書類を見ることができます。これが1つ目のメリットです。
2つ目のメリットの書類を探す時間の削減ですが、これも想像に難くないと思います。
紙で書類を管理していると、必要な書類を倉庫やキャビネットに探しに行くわけですが、パラパラめくって該当の書類を探すとなると、けっこう時間がかかります。実際にいろんな機関の調査でも、書類を探している時間は予想以上に多いという結果が出ています。
それを電子化して検索機能などを駆使すれば、該当の書類を探す時間は大幅に短縮でき、ストレスも減ります。
さらに書類自体を探す時間の削減だけでなく、電話対応への負荷も軽減されます。というのも、紙で保管していた場合、問い合わせの電話があった際、キャビネットなど置いてある場所に見に行くことになります。先方に対して「確認して折り返します」という対応をしていることが多いと思います。それも電子化してあれば、自席で書類を確認しながら電話対応ができるため、折り返しの電話の回数を減らすことができます。
3つ目は、新しい働き方に直結するメリットです。コロナ禍で急速にリモートワークが広がったと思うのですが、実際に在宅勤務を実施した企業に対して調査で、ある課題が浮き彫りになりました。課題に感じたことは何かという回答に、「会社に書類を確認しに出社しなければならなかったこと」というのが一定数あったのです。こうした結果からもリモートワークを実施する、つまり柔軟な働き方を実現するうえで、書類の電子化、ペーパーレス化は必須であるということがお分かりいただけるかと思います。
この3つ以外にもペーパーレス化は、用紙代や印刷にかかるコストの削減が可能にしますし、災害が起きた時の消失や浸水による被害などを防ぐことができ、災害時のBCP対策(事業継続計画)にもつながるのではないかと考えられます。
企業が抱える課題
では、ペーパーレス化を推進する際、企業が抱える悩みにはどんなものがあるでしょうか。
もっとも大きな課題は「自社だけではどうにもならないことが存在する」点です。
弊社のお客様からも「注文書がファクスで送られてきます」とか「請求書が郵送されてきます」という声を聞きます。自社では紙を削減していこうとしているのに、外部では紙の使用が続き、受け取らざるを得ない場合があります。
このようにペーパーレス化は自社だけで完結しないことが課題のひとつだと思いますが、それでもこうしたケースへの対応策はあるので、進められることところは進めていきましょう。
お客様の相談として多いのが、
- 1.これから電子化を進めるとしても、これまで保管してきた書類はどうすればいいのか。
- 2.法令で何年は必ず保管しておかなくてはならない書類は、どのように取り扱えばいいのか。
- 3.電子化したはいいけれど、元の書類は捨てていいのか、分からない。
- 4.紙依存の体質から変えられず、電子化が進まない。
- 5.実際にペーパーレス化を始めたいと思っても、そもそも何から始めたらいいか分からない。
といったものです。
後編では、これらの課題を解決するための方法をお伝えします。
まとめ
前編:ペーパーレス化とは何か
そもそもペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、社内で取り扱っているさまざまな文書を電子化することによって業務の効率化を図り、紙の使用を減らしていくこと
ペーパーレス化のメリット
- 1.情報が共有しやすくなる
- 2.書類を探す時間を削減できる
- 3.リモートワークの環境整備につながる
企業が抱える課題
最も大きな課題は「自社だけではどうにもならないことが存在する」点
相談として多いのが下記4つ
- ・保管してきた紙文書はどうするか
- ・法令で保管期間が定められている書類はどうするか
- ・紙依存の体質から変えられない
- ・電子化の方法や過去の紙文書の扱いをどうするか
※感染症予防の一環で、インタビュー時はマスクを着用しソーシャルディスタンスを確保しております。
- ・SIOS Appsの詳細(サイオステクノロジーの文書管理アプリケーション)